日本植物病理学会報
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アズキモザイクウイルスの新系統の純化,諸性質および血清学的性状
盧 聖煥土崎 常男日比 忠明
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1996 年 62 巻 3 号 p. 243-246

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抄録
アズキ(品種:京都大納言)の種子伝染株より得たアズキモザイクウイルスの1系統(AzMV-KY)は,長さ約750nmで,感染細胞内に封入体を形成し,非永続的にアブラムシで伝搬され,アズキ品種「京都大納言」で種子伝染した。AzMV-KYの宿主範囲は既報とほぼ一致したが,新たにChenopodium amaranticolorC. quinoaの接種葉に局部病斑を形成した。N. benthamianaの感染葉中でのウイルス濃度が高いことから,その感染葉を材料とし,Triton X-100, PEG,蔗糖密度勾配遠心,塩化セシウム平衡密度勾配遠心(あるいは硫酸セシウム密度勾配遠心)による純化法で,純度の高いウイルスが生葉100g当たり3mg得られた。ウイルスRNAの分子長は約10kb,外被蛋白質の分子量は約34,000であった。本法により純化したAzMV-KYを用いて作製した抗血清は,ELISAにより既報のAzMV-J (Tsuchizaki and Omura, 1987)とやや弱い反応を示し,また,寒天ゲル内二重拡散法でAzMV-KYと-Jとの間にスパーが形成されたことから,系統特異性が高いことが示された。以上の結果からAzMV-KYはAzMVの新しい系統と同定された。
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