日本植物病理学会報
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キャベツおよびブロッコリー(Brassica oleracea)から分離したべと病菌(Peronospora parasitica)の宿主範囲
佐藤 衛福本 文良
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1996 年 62 巻 4 号 p. 393-396

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抄録

香川県の3点のキャベツ,三重県の2点および鳥取県の1点のブロッコリーからPeronospora parasiticaのサンプルを集め,各サンプルから5菌株,合計30の単胞子分離株を調製し,これらの宿主範囲を調査した。供試植物として,Brassica oleracea(カリフラワー,キャベツおよびブロッコリー18品種)の他,B. campestris(タイサイ,ミズナ,アブラナ,ハクサイおよびカブ8品種),B. juncea(カラシナ1品種),B. napus(ルタバガ1品種)およびRaphanus sativus(ダイコン2品種)を用いた。接種試験の結果,分離源と同種の植物であるB. oleraceaの3作物の16品種は高い感受性を示し,本種は宿主植物と考えられた。また,B. napusは中程度の感受性を示したことから宿主となる可能性が示唆されたが,B. campestris, B. juncea, R. sativusは抵抗性を示したことから非宿主と考えられた。供試したべと病菌はすべて同じ系統に属し,B. oleracea (B. napusも含む可能性がある)を宿主とする系統と考えられた。B. oleraceaの中でキャベツの2品種,ゴールデンベストおよびYR-さわみどりは抵抗性を示した。供試した単胞子分離菌株で病原性に違いは見られなかった。

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