抄録
ジャガイモそうか病菌の毒素生産と菌の形態分化との関係を解明する研究の過程で,IFO 13767株が,これまでに本菌の生産する毒素として構造決定されているthaxtomin A以外の毒素を生産していることを,イネ根の伸長阻害を指標とする生物検定により見いだした。この毒素はHPLCによる精製で2種類の成分に分離され,concanamycin AおよびBと同定された。そこでIFO 13767株とIFO 13768株について毒素の生産性を調べた結果,IFO 13767株はconcanamycin AおよびBを生産したがthaxtomin Aは生産せず,IFO 13768株はconcanamycin AおよびBとthaxtomin Aを生産していた。上記2菌株は異なった形態の病巣から単離されていることから,concanamycinsの生産性と病徴との関係に興味が持たれる。