抄録
トマト萎ちょう病菌に対するインドール類縁化合物の増殖抑制効果を検討したところ,5-fluoroindole (5-FI)が顕著な抑制効果を示したので,この物質の作用についてさらに検討を加えた。その結果,5-FIを未発芽小型分生胞子に処理した場合には,50μg/mlの濃度でほぼ完全に発芽を抑制し,わずかに発芽したものでも,発芽管の突起が形成された時点で球形に膨潤し,以後の伸長を停止した。また,あらかじめ培養して発芽管もしくは菌糸を伸長させた分生胞子に5-FIを処理した場合にも,それらの先端部が球形に膨潤し,それ以後の伸長や胞子形成を抑制した。さらに,上記の球状構造体は浸透圧処理に感受性であることから,プロトプラスト様の構造であるものと推定された。