日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
バリダマイシンAのPseudomonas solanacearumに対する抗菌活性とトマト青枯病防除効果
石川 亮藤森 健一松浦 一穂
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 62 巻 5 号 p. 478-482

詳細
抄録
バリダシン®の有効成分であるバリダマイシンA (VM-A)はRhizoctonia solaniによるイネ紋枯病に卓効を示す薬剤である。VM-AはR. solani由来のトレハラーゼを阻害することが報告されている。本報告では,Pseudomonas solanacearumに対するVM-Aの抗菌活性と,トマト青枯病防除効果について調べた。VM-Aはトレハロースを唯一の糖源としたときのみに,P. solanacearumに対して抗菌活性を示し,その活性は増殖抑制効果であった。トレハロース液体培地に50μg/mlのVM-Aを処理したときのP. solanacearumの増殖速度は,培養1から8日後までは,糖源を含まない培地のときと同程度に強く抑制された。VM-Aは温室内でのポット試験,圃場試験で高い防除効果を示した。圃場試験で,VM-Aは250μg/mlの茎葉散布(接種5日前および2日後)で,接種4週間後に47.4%の防除効果を示した。無処理のトマト茎からは,地上部から5cmの範囲でP. solanacearumが3.84×1010cfu/ml生重検出されたが,VM-A処理のトマトの同部位からは病原菌は2.13×109cfu/ml生重しか検出されなかった。以上の結果より,VM-Aはトマト内でのP. solanacearumの増殖を抑制することで,青枯病の発病遅延効果を発現するものと考えられた。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top