日本植物病理学会報
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インゲンマメ黄斑モザイクウイルスRNAの全塩基配列
中村 茂雄本藏 良三岩井 孝尚宇垣 正志大橋 祐子
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1996 年 62 巻 5 号 p. 472-477

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抄録
宮城県内のえそモザイク症状ソラマメから分離したインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV) MB 4分離株のRNAから,oligo (dT)とランダムプライマーを用いたGubler & Hoffman法,および5'RACE法によって全長をカバーするcDNAクローンを得,その塩基配列を決定した。BYMVゲノムRNAは3' poly (A)を除いて9532塩基からなり,第191塩基から第9361塩基までひとつの長いORFが見いだされた。このORFは3056アミノ酸から成るタンパク質(分子量348K)をコードしており,すでに全塩基配列が報告されているpotyvirusとの比較から,ウイルスプロテアーゼによりP1, HC-Pro, P3, 6K1, CI, 6K2, NIa-VPg, NIa-Pro, NIb, CPの10個のポリペプチドに切断されると予想された.これらのアミノ酸配列を他のpotyvirusと比較したところ,NIbが最も高い相同性を示し(57-65%),次いでCP (52-65%), CI (47-61%), NIa (43-50%), HC-Pro (39-50%), 6K1 (36-53%), 6K2 (30-49%), P3 (18-26%)の順であり,P1は9-22%と低く,そのサイズもウイルス間で大きな開きがあった。
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