抄録
1993年7月に神奈川県のガラス温室内のイチゴ(品種:女峰)葉上で,イチゴうどんこ病菌の完全世代を発見した。子のう殻は暗褐色,球形,直径90∼100μm。殻壁細胞は不規則で直径は8∼22μm。付属糸は子のう殻周辺に多数生じ,菌糸状,湾曲し,分岐せず,隔膜を有し,長さは子のう殻の直径の0.7∼4倍,太さ4∼6μm,基部から褐色を帯びるが先端にかけて無色。子のうは子のう殻内に1個形成され,卵形∼楕円形,大きさ60∼94×56∼74μm。子のう胞子は子のう内に8個形成され,楕円形,大きさ16∼32×14∼24μm。菌糸は白色で,成熟しても着色しない。分生胞子はフィブロシン体を有し,卵形∼楕円形,大きさ20∼40×18∼28μm,発芽管はSphaerotheca Pannosa型。以上の特徴より本菌をSphaerotheca aphanis (Wallr.) Braun var. aphanisと同定した。