日本植物病理学会報
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プロベナゾールおよびサッカリンがタバコモザイクウイルスによる病斑形成に及ぼす影響
小金澤 碩城佐藤 豊三笹谷 孝英
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1998 年 64 巻 2 号 p. 80-84

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抄録
殺菌剤プロベナゾールは糸状菌や細菌に対する全身獲得抵抗性を誘導することが知られている。本剤とその代謝産物であるサッカリンのタバコモザイクウイルス(TMV)による病斑形成に及ぼす影響について検討した。局部病斑形成宿主であるタバコ品種Xanthi ncに処理した場合,両剤共に処理したタバコでは無処理のものに比較してTMVによる局部病斑の出現を早め,かつ病斑の大きさを減少させる効果が認められた。また,全身感染宿主であるタバコ品種SamsunではTMVによるモザイク症状のマスキングを促進する働きが認められた。これらの結果はプロベナゾールとサッカリンは広範囲の病原体に対する抵抗性を誘導することを示していると考えられる。
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