日本植物病理学会報
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Agrobacterium tumefaciensの染色体上の病原性遺伝子(acvB)の機能解析
藤原 淳高村 寿勇Parimal MAJUMDER吉田 尚史小島 峯雄
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1998 年 64 巻 3 号 p. 191-193

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抄録

A. tumefaciensの染色体上にある病原性遺伝子acvBの機能を明らかにするために本研究を行った。イントロンを持つβ-glucuronidase (GUS)レポーター遺伝子をT-DNA領域に含むバイナリーベクターをA. tumefaciensのA208菌(病原性,acvB+), B119菌(非病原性,acvB-),およびM3菌(非病原性,chvA-)に導入した。これらの菌株とタバコBY2細胞およびBY2細胞のプロトプラストと共存培養を行い,T-DNAの宿主植物の核内への移行をGUS遺伝子の一過性発現で調べた。A208菌は細胞壁の存否に関係なくT-DNAを宿主細胞の核内へ移送することができ,B119菌は細胞壁がないプロトプラストの核内へは移送できるが,細胞壁をもつ細胞中へは移送できなかった。M3菌は細胞壁の存否に関係なくT-DNAを宿主植物の核内へ移送することができなかった。以上の結果より,acvB遺伝子産物はT-DNAの宿主細胞壁の通過に関与していることが示唆された。

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