1998 年 64 巻 4 号 p. 276-281
イネもみ枯細菌病菌,Pseudomonas (Burkholderia) glumaeの毒素であるトキソフラビンの産生関連蛋白質,TRP-1についてコード領域の解析を行った。コード領域は735bpからなり,想定される蛋白質は244アミノ酸,分子量27,434 Daであった。相同性解析の結果,アミノ酸配列中には,メチルトランスフェラーゼにみられる3つのモチーフが存在していたことから,TRP-1が毒素生合成におけるメチル基転移反応に関わっている可能性が考えられた。TRP-1コード領域内に,相同的組み換えを利用して挿入変異を導入したところ,得られた変異株はすべて毒素の産生性を喪失していた。また,TRP-1コード領域の下流の解析からオペロン構造が予想された。これらの結果からTRP-1を含むオペロンはP. glumaeにおける毒素産生に重要な役割を果たしていることが示された。