日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
プラスミドDNAをプローブとして用いた日本芝ラージパッチ菌Rhizoctonia solani AG-2-2 IVの特異的検出
高松 進中野 真奈美横田 英之久能 均
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 64 巻 5 号 p. 451-457

詳細
抄録

ラージパッチ菌Rhizoctonia solani AG-2-2 IV PE-42菌株から全DNAを抽出し電気泳動を行ったところ,染色体DNA以外に3.0kbのバンドが認められた。このバンドは制限酵素によって切断されることから2本鎖DNAプラスミドであると考えられたので,PE-42プラスミドと命名した。アガロースゲルから回収したPE-42プラスミドDNAをプローブとして,ラージパッチ菌およびその他の日本芝の病原菌から抽出したDNAとハイブリダイゼーションを行ったところ,ラージパッチ菌ではすべての菌株で明瞭なシグナルが検出されたが,その他の病原菌ではシグナルは全く検出されなかった。また,さまざまな菌糸融合群および培養型を含むR. solani菌株から抽出したDNAを用いてPE-42プラスミドDNAとのハイブリダイゼーションを行ったところ,ラージパッチ菌株からのみシグナルが認められ,その他の菌株ではシグナルは全く認められなかった。さまざまな発病段階のラージパッチ罹病芝,イエローパッチ罹病芝および健全な芝からDNAを抽出し,PE-42プラスミドDNAとハイブリダイズさせたところ,ラージパッチ罹病芝から抽出したDNAのみでシグナルが検出された。以上の結果から,PE-42プラスミドDNAはラージパッチの遺伝子診断のためのプローブとして有用であると考えられた。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top