アゾール系シクロペンタノール誘導体イプコナゾール[code name: KNF-317 (1
RS, 2
SR, 5
RS; 1
RS, 2
SR, 5
SR)-2-(4-Chlorobenzyl)-5-isopropyl-1-(1
H-1,2,4-triazol-1-ylmethyl) cyclopentanol]には担子菌類,子のう菌類,不完全菌類,接合菌類に対する広い抗菌活性が認められた。また本化合物は種子消毒剤としてイネの主要な種子伝染性病害であるばか苗病,ごま葉枯病,いもち病に対して,さらに,リゾープス,トリコデルマによる苗立枯病に対しても高い防除効果を示した。本剤はおのおのの種子処理方法や条件において,イネばか苗病に対して安定して高い防除効果を示した。そこで,これに関連して有効成分の籾付着保持量,籾中濃度を検討した。各処理方法において浸種後のイプコナゾールの籾中での濃度はほぼ一定しており,また種子消毒後の異なる浸種条件下でもイネばか苗病に対して安定した防除効果を示すのに十分な量のイプコナゾールが籾中へ移行していると推察された。種籾からのイネばか苗病菌の分離頻度と籾の各部分のイプコナゾールの分布を調べた結果,ばか苗病菌の分離頻度の高い籾殻に本剤が多く分布して,籾内での同菌の増殖を抑制し,殺菌的,あるいは静菌的に収穫期までばか苗病の発生を抑えていることが示唆された。また同菌のジベレリン生産性に対する作用を検討した結果,本剤はジベレリン生産阻害能を有しており,これも発病抑止に補完的に関与する可能性が示唆された。
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