日本植物病理学会報
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たばこ産地から採取した黒根病菌の病原力
三木 淳一勝屋 聡
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1998 年 64 巻 5 号 p. 471-473

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抄録
日本各地のたばこ畑から収集したタバコ黒根病菌(Thielaviopsis basicola) 42菌株を供試し,日本の栽培品種であるBY4(本病に感受性),MC1およびバーレー21(中度抵抗性)に対する病原力を調べた。いずれの菌株もBY4に対しては平均罹病指数(DI: 0=健全∼5=全根黒変)が3.4以上を示したが,MC1およびバーレー21に対しては罹病指数が連続的に0.8∼4.3の間に分布し,病原力に差が認められた。これら42菌株を,抵抗性品種に対する病原力をもとに,(1)強病原力系統(DIが3以上),(2)中病原力系統(DIが2より大きく,3未満),および(3)弱病原力系統(DIが2以下)の3系統に分類した。各病原力系統から3菌株ずつ,計9菌株を用い,本病に対する抵抗性遺伝子構成が異なるタバコ5品種に対する病原力を調べた。各菌株とも,DelcrestおよびHicks Broadleafの平均罹病指数は,MC1およびバーレー21の指数と同程度であった。Riwaka 5, NFT706およびVirginia Goldの3品種に対する強病原力系統の3菌株の罹病指数は,それぞれ4.2, 2.5および4.2であり,中および弱病原力系統の6菌株の罹病指数は,1.0以下であった。実際の葉たばこ生産において大きな被害を与える可能性がある強病原力菌株を判別するには,抵抗性品種のRiwaka 5と罹病性品種のBY4への接種が必要であると考えられた。
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