抄録
北大圃場より分離したインゲンマメモザイクウイルス(BCMV)アズキモザイク系統(AzM-JH)のゲノムについて3'末端領域2167塩基の配列を決定した。外被タンパク質(CP)のアミノ酸配列は,既報のワシントン分離株(BCMV-AzM-W), dendrobium mosaic virus (DeMV)とそれぞれ93.9%, 90.5%の高い相同性を示したが,BCMV-AzM-WとDeMVに共通するN末端の2アミノ酸の欠失は見られなかった。3'末端非翻訳領域は保存性が高く,BCMV-AzM-JHとBCMV各系統との間に90%以上の相同性があった。CPのアミノ酸配列と3'末端非翻訳領域の塩基配列のそれぞれに基づいて,BCMVグループの系統解析をしたところ,BCMV-AzM-JHはBCMV-AzM-W, DeMV, BCMV-US4, BCMV-NL2と一群をなし,これらは進化的に近縁であることが示された。