抄録
ピーマン種子からの簡便なトバモウイルス検出法を開発した。ピーマン種子を直接トバモウイルス抗体希釈液に60分間浸漬し,0.1M NaClと0.05% Tween 20を含む20mMリン酸緩衝液pH 7.4 (PBST)で洗浄後,アルカリフォスファターゼ(AP)標識抗ウサギIgGヤギ抗体液に60分間浸漬した。PBSTと蒸留水で洗浄後,APの基質NBT-BCIPに浸漬した結果,トバモウイルスに汚染された種子の表面には色素が沈着し,ウイルス汚染の有無を判別できた。本法で処理した種子は,無処理の種子と同様に正常に発芽した。本法では汚染ウイルスの感染性を評価できないが,市販種子での検出の結果はELISAと同様であったことから,ELISAよりも簡便で実用的なトバモウイルス検出法であると考えられる。