抄録
Cucumis figareiの高温条件でのキュウリモザイクウイルス(CMV)による全身感染のウイルス側の因子を調べるために,reassortment実験とキメラRNAによる実験を行った。高温条件で全身感染するpepo-CMVのRNA 1-3の感染性cDNAクローン由来のRNAと,全身感染しないY-CMV RNA 1-3のcDNA由来のRNAとを組み合わせて接種したところ,36°C条件ではpepo-CMV RNA 3を含む組み合わせのみで全身感染が認められたことから,全身感染にかかわる因子はCMV RNA 3にあることがわかった。全身感染するSO-とMY17-CMVのRNA 3のcDNAクローン由来RNAとY-CMV RNA 1-2の接種でも全身感染したことから,これらの系統についても全身感染にかかわる因子はCMV RNA3にあることが示された。また,Y-CMV RNA3とpepo-CMV RNA 3を部分的に組み換えたキメラRNAによる実験で,全身感染にかかわる因子がCP遺伝子にあることが示された。さらに,pepo-, SO-, MY17-CMVのRNA 3の塩基配列をY-CMV RNA 3と比較した結果,Y-とpepo-, SO-, MY17-のCP領域には17 (Leu→Pro), 25 (Ser→Pro), 28 (Ser→Ala), 129 (Ser→Pro)番目の4箇所のアミノ酸相違部位が認められた。これらのアミノ酸が高温条件におけるCMVの長距離移行に重要と考えられる。