日本植物病理学会報
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Cucumis figareiの高温条件でのキュウリモザイクウイルスによる全身感染には外被たんぱく質遺伝子が必要である
斉藤 宏昌藤原 正幸大木 理尾崎 武司
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1999 年 65 巻 3 号 p. 248-253

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抄録
Cucumis figareiの高温条件でのキュウリモザイクウイルス(CMV)による全身感染のウイルス側の因子を調べるために,reassortment実験とキメラRNAによる実験を行った。高温条件で全身感染するpepo-CMVのRNA 1-3の感染性cDNAクローン由来のRNAと,全身感染しないY-CMV RNA 1-3のcDNA由来のRNAとを組み合わせて接種したところ,36°C条件ではpepo-CMV RNA 3を含む組み合わせのみで全身感染が認められたことから,全身感染にかかわる因子はCMV RNA 3にあることがわかった。全身感染するSO-とMY17-CMVのRNA 3のcDNAクローン由来RNAとY-CMV RNA 1-2の接種でも全身感染したことから,これらの系統についても全身感染にかかわる因子はCMV RNA3にあることが示された。また,Y-CMV RNA3とpepo-CMV RNA 3を部分的に組み換えたキメラRNAによる実験で,全身感染にかかわる因子がCP遺伝子にあることが示された。さらに,pepo-, SO-, MY17-CMVのRNA 3の塩基配列をY-CMV RNA 3と比較した結果,Y-とpepo-, SO-, MY17-のCP領域には17 (Leu→Pro), 25 (Ser→Pro), 28 (Ser→Ala), 129 (Ser→Pro)番目の4箇所のアミノ酸相違部位が認められた。これらのアミノ酸が高温条件におけるCMVの長距離移行に重要と考えられる。
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