日本植物病理学会報
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ナスすすかび病菌分生子の離脱と飛散
山口 純一郎稲田 稔松崎 正文
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2000 年 66 巻 1 号 p. 5-11

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抄録

ナスすすかび病の病斑部から病原菌分生子が離脱する湿度,温度および光照射条件ついて検討した.まず,室内試験では,相対湿度約50%で病斑部から約468個/cm2/24 hoursの分生子の離脱が認められたが,100%の湿室条件下ではほとんど離脱しなかった.また,温度条件では20∼25°C,光照射条件では暗黒下で多く離脱したが,過湿条件下ではいずれの温度,光条件でもほとんど離脱しなかった.施設栽培条件での圃場試験では,病斑部からの経時的な分生子の離脱は,湿度が低下した時間帯に認められ,離脱量は高湿度の日が続いた後の低湿度の日が極めて多かった.さらに,施設内での時刻別の飛散分生子数は湿度が低い日中に多く,湿度が高い夜間は少なかった.日別分生子採集数は,降雨や曇天による多湿の日が続いた直後の湿度が低い日に多かった.これらのことから,すすかび病菌の分生子の離脱・飛散は相対湿度が大きく関与し,相対湿度が高い状態で推移したあと低湿度になったとき多量になることが明かとなった.

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