性格心理学研究
Online ISSN : 2432-695X
Print ISSN : 1345-3629
対人判断における社会的カテゴリー適用可能性の効果とその個人差
森 津太子
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1997 年 5 巻 1 号 p. 27-37

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抄録

本研究の目的は, Banaji, Hardin & Rothman (1993)が見出した社会的カテゴリー適用可能性の効果が自動的な過程によるものかどうかを検討し, その効果と被験者の認知欲求と社会的態度の関連を調べることであった. 48名の女子大学生は, 閾下あるいは閾上に呈示された, 依存性関連プライムかニュートラルプライムに接触し, その後で, 女性, 男性, あるいは, 性別が不明の人物の印象を評価した. 主な結果は以下の通りであった. (a) 依存性関連プライムに接触した被験者は, 女性よりも男性のほうを依存的であると評定したのに対し, ニュートラルプライムに接触した被験者は, 男性よりも女性のほうが依存的であると評定した. この結果はBanaji et al. (1993)の結果とは矛盾するものであった. (b) これは, プライムが閾下で呈示された場合でも, 閾上で呈示された場合でも同じであった. (c) また, この結果は, 認知欲求の低い人, 伝統的な性役割に否定的な人でより明瞭であった. これらの結果から, 適用可能性の効果は自動的な過程によるものであり, また, 本研究とBanaji et al. (1993)との結果の矛盾は, 両研究における被験者の性ステレオタイプの違いではないかと論じられた.

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© 1997 日本パーソナリティ心理学会
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