抄録
人物の性格知覚の発達を検討した研究は多いが, 性格知覚において使用される次元の発達に関する研究はかなり少ない. そこで, 我々は, 使用される次元の種類と数の発達的変化を検討した. 我々は, 女子の小学生から大学生までの932名の被調査者を対象とし, 好きな人物, 嫌いな人物, 自分について, 各人物を表す特性語を4つずつ記述するよう求め, それらの特性語を4つの基本次元(社会的評価, 知的評価, 力量, 活動性)のどれかに分類した. 分析の結果, 年長者になるほど, 知的評価, 力量の次元の使用が増加し, 一方, 社会的評価の次元の使用が減少していることが示された. また, 年長者になるほど, 使用次元の数が増えることも示された.