抄録
神経性食欲不振症(AN)は神経性過食症や健常者に比べて「入院拒否感」を有意に多くもっていることを, 我々は以前から指摘してきた。そこで, ある体重以下になれば入院するという外来限界体重(入院体重)を設定するため, 「入院体重設定療法」と名づけたANの外来治療法を開発し, 黒川内科で実施してきた。この治療法により80%のANで治療効果を示し.ANの外来治療法としては基本になるべきものと考えられた。また今回の調査で, この治療法を受けたANの大部分が予後良好であり, 順調な経過をとり, 体重や精神的な回復がみられるにもかかわらず, 「入院拒否感」をなお保っている症例が多いことが分かった。