心身医学
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過食を伴う摂食障害患者の臨床的特徴からみた治療の方向性
小牧 元久保 千春
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1999 年 39 巻 1 号 p. 75-80

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抄録
近年, 過食を伴った摂食障害患者(特に神経性大食症)が増加しており, 従来の認知行動療法では治療に困難さを伴うことが少なくない。そこで今回, 当科外来を初めて受診した過食を伴う摂食障害患者(43名)の臨床的特徴を調査し, 今後の治療の方向性を探った。その結果, 中断・不変群は65%にのぼり, 罹病期間が長いほどその傾向にあった。また, 体重の変動の大きさとアレキシサイミアといった身体感覚への気づきの欠如などの心理的問題が強く関係していた。以上より, 治療は単に「過食=悪い習慣」の駆逐に焦点を当てるのではなく, 早期治療の観点からも食事の質を高め, 自然な身体内部からの気づきを回復していき, さらには患者の心理的問題を解決していくといった視点の重要性が示唆された。
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© 1999 一般社団法人 日本心身医学会
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