抄録
大学時代のメンタルヘルスが学業終了後に及ぼす影響について, ソーシャルサポートの観点から研究を行った.東邦大学大森病院心療内科外来に6カ月以上通院中の大卒社会人患者24人と健常者24人に, 現在・大学時代・中学高校時代のソーシャルサポートに関するアンケート調査を行った.その結果, 現在・大学・中高いずれの時期においても, 患者や健常者には家族が大きな支えになっていること, 患者は健常者よりも大学時代にソーシャルサポート不足だったと感じていること, 患者も健常者も周囲の人々の傾聴・共感的態度に支えられていることがわかった.また, 臨床症例から, 治療効果とソーシャルサポートネットワーク拡大との関係が示唆された.