症例は59歳, 独居の未婚女性, 1995年1月の震災で住宅が全壊, 仮設住宅に入居.糖尿病・肝障害で当院外来通院していたが, 1996年10月, 震災による生活環境の変化や心理的ストレスから糖尿病と肝機能の増悪を認め入院.コンサルテーシヨン・リエゾンとして心療内科に紹介された.本症例は震災ストレスによるトラウマを抱えており, その回復にはまず「安全の確立」としての安定した治療関係と安定した生活環境が必要であり、そのうえでの患者教育を含めた心身医学的ケアが有効であった.本症例の身体疾患の経過は患者の精神状態と心身相関を示しており, こうした被災患者に対して心療内科を窓口とした心身両面からのケアは意義深いと思われた.