心身医学
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睡眠相後退症候群を呈し, 低周波音による健康障害の示唆された1例
菅原 英世坂本 真佐哉松木 俊二中村 紘一中野 重行平野 隆一宮 一成
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2000 年 40 巻 6 号 p. 477-482

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抄録

症例は55歳男性, 電気設計技師, 初診2年前に自宅付近に高速道路が開通して以来不眠が始まった.また, 理解困難な耳鳴りが出現したため耳鼻科より幻聴を疑われて当科に紹介となった.耳鼻科的には聴力検査を含めて異常はみられなかった.治療は睡眠薬の投与と音を遮蔽する工夫を行った.臨床経過中に, 患者は低周波音によると考えられた耳鳴りと睡眠相後退症候群を生じていた.また, 睡眠時間と翌日の体調の間にも関連がみられた.低周波音による健康障害の患者は睡眠障害の他に耳の圧迫感や痛み, 肩こり, 手足のしびれなどの不安愁訴を訴えてプライマリケア場面に訪れる可能性がある.したがって, これによる障害と不安定愁訴症候群や精神疾患との鑑別が求められる.

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© 2000 一般社団法人 日本心身医学会
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