2004 年 44 巻 8 号 p. 583-587
パラフィリアとは典型的でない性嗜好に対する医学的疾患概念である.典型的でない性嗜好の何が医学的な異常で何が正常なのか,何をもって医学的疾患とするのか.その境界線は,文化,時代の影響を受ける古典的には生殖に結びつかない性行動が異常とされた.その後, 1970年代のゲイムーブメントの影響を受けて,本人に苦悩があることをもって精神疾患とするようになった.しかし,2000年に出されたDSM-IV-TRにおいては,その行動が性犯罪となるものは,苦悩がなくても行動をもって精神疾患とされるように変更となった.すなわち現在では,パラフィリアは性犯罪グループと非性犯罪グループで診断基準が異なっだものとなっている.