心身医学
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突発性脳波異常を有するパニック障害症例の治療 : 治療奏効例と治療抵抗例より
林 果林菅 重博山田 宇以酒巻 眞澄佳杉山 邦男端詰 勝敬中野 弘一坪井 康次
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2006 年 46 巻 3 号 p. 233-241

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抄録
近年, パニック障害患者に脳波異常が多いことが指摘されている.われわれは, 脳波異常を有するパニック障害患者を経験し, 脳波異常を考慮した治療を行った.症例1 : 36歳, 女性.めまい, 動悸, 冷汗などを伴う発作を認め, パニック障害と診断された.脳波上突発性異常が認められたためバルプロ酸を投与, 発作の消失が認められた.症例2 : 44歳, 女性.焦燥感, めまい, 吐気を主訴に来院.分娩時失神発作の既往あり.脳波上鋭波の多発を認め, バルプロ酸投与開始.しかし症状の改善は認められず, スルピリドと抗不安薬にて速やかな症状改善を認めた.症例3 : 58歳, 女性.突然のめまい感, 不安感にて長期間工チゾラムを過量内服.脳波上突発性異常を認めたため, カルバマゼピンの投与を開始した.その結果, 突然のめまい感は消失したが不安症状は続き, エチゾラムの漸減は困難であった.3症例をそれぞれ3つ異なる病態ととらえ, それぞれの評価・経過・治療についてまとめた.
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© 2006 一般社団法人 日本心身医学会
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