心身医学
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災害における心身医学 : 阪神淡路大震災,新潟県中越地震の現場の経験から(シンポジウム/心身医学と社会,環境との関わり-心身相関の医学より一歩先へ-,第46回日本心身医学会総会)
村上 典子小笹 裕美子村松 知子
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2006 年 46 巻 7 号 p. 655-660

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抄録
当院心療内科は,1995年1月の阪神淡路大震災・被災地での心身医学的ケアを目的に,1996年に開設された.また,震災から約10年後の2004年10月の新潟県中越地震では,心療内科スタッフは日本赤十字社の災害救護の一員として,全員被災地に赴いた.その際,感冒,高血圧,不眠・不安,便秘など,被災というストレスフルな背景に配慮した心身医学的ケアが必要とされた.震災10年後の心療内科受診患者を対象としたアンケート調査では,39%が「震災と今の自分の病気は関係がある」と考えており,特に,転居,失職(転職),家族構成の変化など震災後生活変化の大きかった者に限ると,その割合は68%にも達した.災害においては,急性期から復興期にれたり,身体的,精神的,社会的,スピリチュアルな全人的ケアが必要とされ,今後の心身症を防ぐためにも,長期的視野に立った心身医学的介入が災害直後の急性期から必要と考える.
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© 2006 一般社団法人 日本心身医学会
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