心身医学
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強迫傾向のある慢性疼痛患者に対する治療戦略の検討
永岡 三穂村上 典子福永 幹彦
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2010 年 50 巻 2 号 p. 155-158

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抄録

はじめに:慢性疼痛に合併するうつなどの精神症状の報告は多いが,慢性疼痛に陥りやすい性格の特徴についての報告は見受けられない.慢性疼痛と関連が深いとされる痛みの認知様式としてcatastrophizing,破局的思考が挙げられるが,強迫神経症の認知様式である脅威の"過大評価",一種の強迫行為として"反芻"があるなど破局的思考に至る要素は十分に備えている.慢性疼痛の治療では破局的思考に対する認知行動療法などが有効であると言われているが,強迫性格のある慢性疼痛患者に対して特有の有効なアプローチがないか検討してみた.結果:すべての症例で強迫性の有無にかかわらず,破局的思考,回避行動がみられたが,強迫傾向のある慢性疼痛患者の場合には,回避行動をする一方で,日常生活において,過剰な身体負荷を無意識にしていることがわかった.強迫傾向のある慢性疼痛患者では過剰な身体負荷をしていないか問診したり,身体負荷を制限する視点も必要と思われる.

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© 2010 一般社団法人 日本心身医学会
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