心身医学
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ラット急性ストレス負荷による大腸運動亢進に対する中枢オキシトシンの抑制作用(シンポジウム:脳腸相関と腸管炎症,2010年,第51回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(仙台))
金子 宏松永 昌宏坪井 宏仁川西 陽子
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2011 年 51 巻 4 号 p. 323-328

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抄録

不安,恐怖などのネガティブ感情やストレスは大腸運動を亢進させる.この作用機序として,ストレスによる中枢corticotropin-releasing factor(CRF)の増加の関与が示されている.われわれは,ラットの水回避ストレスモデルを用いて,ストレス緩和作用をもつオキシトシンの,ストレス負荷時の大腸運動への効果を明らかにすることを試みた.その結果,脳室内へのオキシトシン投与は,ストレスによる大腸運動の亢進,室傍核CRF発現および血中コルチコステロン濃度上昇を有意に抑制した.この抑制作用は,脳室内オキシトシン受容体アンタゴニストの前投与により有意に抑制された.これらの結果から,脳内で合成される神経伝達物質であるオキシトシンは,オキシトシン受容体を介して,ストレス負荷時のCRF発現を抑制することで大腸運動亢進を抑制する作用があることが明らかになった.

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© 2011 一般社団法人 日本心身医学会
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