抄録
EBMはevidence based medicineの略で,臨床医が既存の研究データを利用する際に誤った利用や解釈をしないよう,その行動指針を示すものである.EBMは科学的な結果だけを頼りに物事を進めようとしているのではない.患者の価値観と臨床的な専門技能を十分考慮してEBMを活用することが前提となっている.心身医学が「主流の医学」として認められる,もしくはさらに上位に位置づけようと考えているのなら,教育・診療・研究の各レベルで心身医学がどのように役立つのかを示す具体的かつ質の高いEBMデータをどんどん発表する必要がある.講習会では筆者のライフワークである「リラクセーションが高血圧の治療になるか?」という研究と,現在ハーバード大学と共同研究を進めている「認知行動療法で腰痛が改善するか?」という研究を通じて,EBMの作り方と活用の仕方について議論をした.