2012 年 52 巻 8 号 p. 745-754
目的:失体感症を評価する質問紙である失体感症尺度を開発し,信頼性と妥当性の検討を行った.方法:415名の大学生を対象にして,失体感症尺度予備尺度およびToronto Alexithymia Scale-20(TAS-20)への記入を依頼した.結果:項目分析により「体感同定困難」「過剰適応」「体感に基づく健康管理の欠如」の3つの下位尺度,合計23項目からなる失体感尺度が開発された.失体感症尺度は,総得点および下位尺度のいずれにおいても,内的整合性が高く(α=0.70〜0.84),再検査信頼性も十分であった(r=0.71〜0.81).失体感症尺度の総得点と下位尺度は,そのほとんどがTAS-20と有意に相関していた.結論:失体感症尺度は失体感症を評価するためにはじめて標準化された質問紙である.大学生における信頼性は高く,ある程度の妥当性も示唆され,失体感症の研究や臨床応用に有望な心理テストであると考えられる.