抄録
呼吸器心身症は「呼吸器系疾患が存在し,その中で発症や経過に心理社会的因子が密接に関与している病態にあるもの」と定義される.この分野での本邦における近年の研究を検討したところ,気管支喘息,過換気症候群のほか,慢性閉塞性肺疾患,慢性呼吸不全,睡眠時無呼吸症候群,肺癌などについての研究が行われていた.このうち気管支喘息では,心身医学的アプローチが内科的治療よりもよく喘息症状を改善するという報告,DSM-IVに基づく合併する精神障害の報告,PTSDにより喘息発作が誘発されたケースについての報告が注目に値した.また過換気症候群では,その研究対象が急性過換気なのか亜急性ないし慢性過換気なのかを整理することへの注意を喚起した報告が着目された.