2013 年 53 巻 7 号 p. 670-681
目的:機能性身体症候群(functional somatic syndrome:FSS)患者の予期緊張を,唾液アミラーゼで評価し,心理指標との関係を検討した.方法:FSS患者27名と,コントロール22名のストレス負荷前の唾液アミラーゼ測定と,気分,不安,抑うつ,アレキシサイミア傾向を測る心理検査を行った.結果:唾液アミラーゼ値はコントロールよりFSS患者で高く,コントロールで一過性の抑うつとアレキシサイミア傾向が,FSS患者で緊張,不安,持続的な抑うつが唾液アミラーゼ値に強く関与した.唾液アミラーゼ値とアレキシサイミア傾向は,コントロールでは相関を示したが,FSS患者では逆相関を示した.結論:FSS患者は,交感神経系の予期反応が高く,緊張や不安,持続的な抑うつがこれに関与していた.自律神経機能とアレキシサイミア傾向の関係は,FSS患者はコントロールと異なる特徴を示した.