2014 年 54 巻 8 号 p. 786-795
本研究では,乳がん患者の配偶者368名を対象に質問紙調査を実施し,(1)サポートの必要性を感じている配偶者の割合,(2)病気に関連した夫婦間コミュニケーションにおいて感じている困難の内容,(3)困難の程度と関連のある属性を明らかにし,配偶者への心理的支援について提言することを目的とした.調査の結果,乳がん患者の配偶者の半数以上(56.5〜76.1%)が,なんらかのサポートがあれば助けになると回答した.半数以上の配偶者が,妻の診断当時の夫婦間コミュニケーションにおいて,患者の気持ちや何をしてあげられるのかわからないと感じていた.このような困難は,時間の経過により減少するものの,時間が経過しても1〜3割の配偶者が困難を感じていた.また,困難の程度と関連がみられた属性は,再発,抗がん剤治療の経験,配偶者のがん罹患経験であった.これらの結果から,乳がん患者の配偶者への心理支援について考察した.