心身医学
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食事・栄養要因および食事パターンと抑うつ症状との関連(シンポジウム:精神栄養・行動医学 : 抑うつや不安の予防・治療における新しい可能性,2013年,第54回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
南里 明子溝上 哲也
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2014 年 54 巻 9 号 p. 835-841

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抄録

労働者における血中の葉酸,ビタミンB_6,ビタミンD,さらに,食事全体を考慮した食事パターンと抑うつ症状との関連を検討し,以下の結果を得た.1)男性では血中葉酸濃度が高いほど,3年後の抑うつ症状が少なかった.2)血中ビタミンB_6濃度が高いほど,3年後の抑うつ症状が少ない傾向であった.3)冬場の血中ビタミンD濃度が高いほど抑うつ症状が少ない傾向であった.4)野菜や果物,大豆製品,きのこなどの高摂取により特徴づけられる健康日本食パターンは,抑うつ症状の低下と関連していた.健康日本食パターンは,葉酸やビタミンC,ビタミンEなどの摂取と関連しており,これらの栄養素の複合効果により,抑うつ症状が低下したと考えられる.本研究は対象者数が少ないことなどいくつか限界点もあるため,今後さらに規模を拡大し前向き研究や介入研究により,うつ病予防につながる食事要因について検討を行う必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本心身医学会
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