心身医学
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うつ病におけるω3系脂肪酸の役割(シンポジウム:精神栄養・行動医学 : 抑うつや不安の予防・治療における新しい可能性,2013年,第54回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
浜崎 景浜崎 智仁稲寺 秀邦
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2014 年 54 巻 9 号 p. 842-848

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抄録

ω3系多価不飽和脂肪酸(以下,ω3)は,1970年頃から心筋梗塞などの動脈硬化症に対する予防効果を期待され,さまざまな疫学調査や臨床試験が行われてきた.それ以降ω3に関する論文数は右肩上がりに増加しており(Fig.1),1980年頃より精神疾患に関する疫学調査が報告され,2000年頃から精神疾患患者を対象とした臨床試験が多く行われるようになってきた.これまでのメタ解析の結果をみると,精神疾患の中でも特にうつ病に効果がみられることが示唆されている.現在では日本での気分障害の患者は100万人を超えていると推測されており,ω3が栄養学的な観点から治療の一助になる可能性もある.本稿ではわれわれが得た知見を紹介するとともに,この分野に関する海外からの疫学調査や臨床試験の報告を紹介する.

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© 2014 一般社団法人 日本心身医学会
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