2014 年 54 巻 9 号 p. 861-866
補完代替療法(CAM)とは,通常,医療の一部とはみなされない,多様な医療,ヘルスケアシステム,実践,商品と定義されている.CAMの利用は増加傾向にあり,精神疾患に罹患している多くの患者も利用しているが,オメガ3系脂肪酸などの一部を除き,CAMの効果は臨床家の間で,広く認知されているとはいいがたい.筆者らは,うつや不安に関するCAMのメタアナリシスおよび無作為化比較試験(RCT)について,定性的レビューを行った.リラクゼーション療法,西洋オトギリソウ,ホメオパシー,運動療法,鍼灸療法などについてメタアナリシスの報告があるが,一般的医学分野で要求される水準と比較して研究方法論として質が低いものが多かった.CAMの推奨・非推奨を決定するためには研究方法論の優れたエビデンスの蓄積が今後さらに必要と考えられる.