心身医学
Online ISSN : 2189-5996
Print ISSN : 0385-0307
ISSN-L : 0385-0307
シンポジウム特集/心身医学に求められる健康栄養学
摂食障害における栄養学の重要性
鈴木 (堀田) 眞理
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 56 巻 10 号 p. 1006-1012

詳細
抄録

栄養学の知識は摂食障害の病態の理解と治療に必須である. 治療抵抗性の肥満やメタボリック症候群では過食性障害や夜食症候群の存在を疑うべきである. 1940年代に行われた健康人の半飢餓臨床試験では, 神経性やせ症に似た行動異常と精神的合併症と反動の過食が認められた. 飢餓が二次的な心理・行動変化をもたらすことは周知すべきである. 神経性やせ症患者では三大栄養素だけでなく, ビタミンや微量元素などほとんどの栄養素が不足する. 本症患者の体重1kgあたりの1日の必要エネルギーは健康人より多いので体重は増加しにくい. 成長期に発症した神経性やせ症では, 低身長は後遺症になりうる. 日本の神経性やせ症患者の約80%がビタミンD不足・欠乏で, 二次性副甲状腺機能亢進症を伴い, 骨粗鬆症や骨軟化症を合併する. 長期間の低栄養状態から摂食量が増加するときには反応性低血糖やrefeeding症候群に留意すべきである.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top