心身医学
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教育講演
エピジェネティクスが拓く新たな心身医学研究
武田 弘志宮川 和也辻 稔
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2016 年 56 巻 4 号 p. 307-315

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抄録
エピジェネティクスは, DNA塩基配列の違いに依存しない遺伝子発現変化にかかわる後成的修飾である. その機構の種類は, ヒストン修飾, DNAメチル化, non-cording RNAなど多彩である. 高次元な遺伝子制御において, エピジェネティクス制御は重要な役割を担うが, この制御に異常をきたすことで, 疾患の発症や難治性化に至る. 近年, エピジェネティクス制御異常がさまざまなストレス性精神疾患の発症や増悪に関与することや, この機構をターゲットとした新たな薬物治療法開発の可能性が示唆されている. 本稿では, 初めに, 代表的な精神疾患とエピジェネティクス制御に関する国内外の研究報告を概観し, 続いて現在われわれが検討している情動的ストレス抵抗性の形成とヒストンアセチル化との機能的連関に関する最新知見を紹介する.
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© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
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