心身医学
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シンポジウム:現代社会が望む家族のかたち~生殖医療に関わる者たちのジレンマ~
養子縁組家族から示唆される非配偶者間生殖補助医療による家族のあり方
森 和子
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2016 年 56 巻 7 号 p. 718-722

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抄録

不妊治療を受けても妊娠に至らない場合, その先の選択として非配偶者間生殖補助医療を選択する夫婦が年々増えている. 本稿では養子縁組家族が親子関係を構築するプロセスから示唆される非配偶者間生殖補助医療による家族のあり方について考察した. 他人同士の出会いからともに生活する中で, 養親はありのままの子どもを受け止め, 子どもも養親から受け止められることで愛着の絆が作られ親子になっていく. そして親子関係が構築され安定した時期に子どもに対し養子であることを真実告知をしたうえで, 親子関係の再構築をしていく. 今日出自が秘密にされることでアイデンティティ形成が阻害されてきたという養子の歴史が非配偶者間人工授精 (AID) で生まれた人たちの出自を知らされない苦しみと重なる. わが国でも当事者の情報が特定の機関で管理され, 必要なときにアクセスできる相談支援システム作りの必要性が示唆された. 今日養子縁組を含め多様な選択肢から家族のあり方を主体的に選ぶことができる社会になることが求められている.

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© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
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