はじめに : 近年, 摂食障害を呈する女子学生が増加している. 本研究の目的は, 新版食行動異常傾向測定尺度 (Abnormal Eating Behavior Scale new version : 以下AEBS-NV) の開発と信頼性および妥当性を検討することであった.
対象者 : 一般女子学生へ調査を実施し, 調査用紙への身長・体重を除く項目へ完答し, また摂食障害の罹患歴がない者226名 (20.4±2.6歳) (調査1) および104名 (19.9±1.1歳) (調査2) を分析対象とした.
方法 : 想定した項目の因子構造を確認するため, 因子分析を行った. また, 尺度の妥当性を検討するため, 因子得点により対象者を3群に分類し (low group : LG, middle group : MG, high group : HG), EAT-26およびEDI得点について, 群における一要因分散分析を行った. また, 尺度のカットオフポイントを検討するため, 下位尺度得点ごとにROC分析を行った.
結果 : 因子分析の結果, “非機能的ダイエット” 因子・ “食事へのとらわれ” 因子・ “むちゃ食い” 因子の3因子 (14項目) が抽出され, 信頼性係数の値は十分であった. EAT-26およびEDI得点は, LGよりもMG・HG (p<0.01), MGよりもHG (p<0.01) で高かった. カットオフポイントは41点とした.
結論 : AEBS-NVの十分な信頼性・構成概念妥当性および基準関連妥当性が確認された. 本尺度により, 女子学生の食行動異常傾向を連続線上で評価することが可能であると考えられる.
抄録全体を表示