2017 年 57 巻 10 号 p. 1005-1012
神戸赤十字病院は1995年1月の阪神・淡路大震災において日本赤十字社の災害救護活動の拠点となった. その翌年, 震災被災者への心身医学的ケアを目的として神戸赤十字病院に心療内科が新設された. 筆者はそこに赴任することとなり, 復興期の被災地での心身診療を通じて, 「災害復興期における心身医学」 の重要性を認識していった. その後も新潟県中越地震 (2004年), JR福知山線脱線事故 (2005年), 東日本大震災 (2011年) と, さまざまな災害において現地で救護活動に携わったり, 多くの災害医療関係者と関わる中で, 急性期から復興期までの災害のあらゆるフェイズにおいて 「心身医学」 のニーズを痛感するに至った. 本稿ではそうした筆者の 「心療内科医として災害と関わった経験」 をまとめてみた.