2017 年 57 巻 2 号 p. 152-159
在宅での医療行為は通常病院で行われるものより制限されることが多いにもかかわらず, 多くの在宅患者は病みつつも健やかに生を全うする. 生活の場である在宅という場そのものが, 患者のレジリアンス発現因子となっていると考えられる. レジリアンスの発現に資する医療者のかかわりには患者家族への生活支援が含まれるが, 特に 「患者の過ごす場所」 をめぐる意思決定支援と, ホスピストライアングルなどの病診連携体制を含めた環境調整が重要である. また, 病院での緩和ケアチームに精神科医がいるように, 在宅においても心身統合的に関与する精神科医が存在することには意義がありうる.