心身医学
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特集/大災害時に心身医療がやるべきこと,できること
災害支援と自治体職員の心身のケア
—阪神・淡路大震災の復興から東日本大震災など国内外の被災地へ—
桜井 明子上月 清司山本 喜三郎
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2017 年 57 巻 3 号 p. 243-250

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抄録

被災地の自治体は, 災害直後から長期にわたって被災者を多方面から支援する重要な役割を担っており, 被災しながら災害関連業務を行う自治体職員のストレス状況には計り知れないものがある. 阪神・淡路大震災でも, 神戸市職員の心身への影響は多大であり長期に及んだ. 災害の受け止め方は個人や集団によって異なり, その回復過程において, さらに状況が多様化していた. その後, 神戸市は, 東日本大震災などの国内外の被災地で支援活動を行ってきたが, 災害のタイプや規模, 地域の環境, 文化・社会的背景などによって異なる様相を呈しており, 救援者側も, 支援の時期やかかわり方によってさまざまな影響を受けていた. 災害時の心身のケアは, 被災者と救援者相互にとって重要であり, 変化していく個別の状況と全体状況を理解しながら, 被災地の実情に即した幅広い心身医学的ケアを行うことが望まれる.

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© 2017 一般社団法人 日本心身医学会
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