心身医学
Online ISSN : 2189-5996
Print ISSN : 0385-0307
ISSN-L : 0385-0307
症例研究
二人の自分の対話という形式でのレポート記載が治療者に投影された陰性感情の緩和に有効であった心因性嚥下障害の1例
小川 隆一
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 57 巻 7 号 p. 736-743

詳細
抄録

症例は40代, 男性. 中学生の頃から咽喉頭部の狭窄感, 嚥下困難があり改善, 増悪を繰り返していた. 種々の薬物療法, 心理療法を受けたが改善せず, 食事摂取量・体重が減少してきたため入院となった. アレキシサイミア, うつ状態を伴っていた. 行動制限, 二人の自分の概念の導入, 患者の記載するレポートをもとにした面接を行った. 患者は症状が改善しないことにいらだち, 治療者に激しい怒りの感情を投影したため, 二人の自分の対話という形式でレポートを記載することを患者に提案した. しぶしぶではあったが実践し, 次第に治療者に投影された陰性感情は緩和された. 治療者との信頼関係も改善され, 治療が中断されることなく継続されるうちに, 患者は内省が可能となり, 食事も摂取できるようになった. 二人の自分の対話という形式でのレポート記載は, 治療者に投影された患者の陰性感情の緩和, 良好な治療関係の構築, 内省の促進に有効であると考えられた.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本心身医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top