心身医学
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シンポジウム特集/ストレス関連疾患としての摂食障害
ストレス関連疾患としての摂食障害
—病態と治療—
髙倉 修鈴山 千恵山下 真波夛 伴和須藤 信行
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2017 年 57 巻 8 号 p. 797-804

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抄録

摂食障害は発症や経過に心理社会的要因が密接に関わることから, 広義の心身症ととらえることができる. 患者の多くは発症前に何らかの苦痛や孤独を感じている場合が多く, 低い自尊心が内在している. さまざまな心理社会的ストレスに対して, 過食や拒食といった手段で対処しようとしているともとらえることができる. やせることで周囲から賞賛されたり, 努力すれば体重が減少するといった経験を通して一時的な自尊心の高まりを感じていることも多い.

また, 慢性的な飢餓状態により強迫性などが強まるなど, 脳機能への影響も生じる. さらに, 神経性やせ症患者において, 遺伝子の後天的な発現変化が生じることも報告されている.

摂食障害の治療は難渋することも多いが, 病態に即した心身両面からの統合的治療が重要である.

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© 2017 一般社団法人 日本心身医学会
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