心身医学
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ワークショップ特集/心身医学療法の温故知新
森田療法
黒川 順夫
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2017 年 57 巻 8 号 p. 818-826

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抄録

森田療法で一番大切なのは体得であり, 理論で理解できる部分は限られている. 悩んだ後に体験してわかることであり, 森田自身, 学生時代に心臓神経症に悩み, それを克服した後に森田療法を確立している. 池見も思春期に種々の神経症や心身症で悩んだことがもとで, 心身医学および心療内科を創った. 池見も森田療法を受けており, 同様に森田療法を経験した筆者からみると池見は自分の悩みをおおっぴらに告白できたことが大きく発展していくきっかけになったといえる. 20年間1人では外出できなかった女性は作業を歩行に置き換えた歩行訓練療法 (森田療法変法) で体得し, どこへでも1人で行くことができるようになった. 筆者もこの女性も体得することにより神経症を乗り越えている. 糖尿病のような身体疾患は森田神経質とは真逆で心身ともにあまり敏感でない患者が多く, 違った心身両面の治療法が必要である.

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© 2017 一般社団法人 日本心身医学会
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