心身医学
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企画シンポジウム特集/慢性不眠症治療のストラテジー
心身疾患における不眠症の特徴と対応
―併存不眠症に対する個人認知行動療法の試み―
山寺 亘
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2018 年 58 巻 7 号 p. 606-611

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抄録

最新の不眠症概念とその治療を概説し, 心身疾患に併存する不眠症に対する個人認知行動療法の自験例を紹介した. 慢性的な不眠症状は, 精神疾患に伴うだけでなく, 生活習慣病と関連して, 医療全体の大きな問題である. DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルで改訂された 「不眠障害」 は, 原発性 (一次性) と精神疾患や身体疾患による随伴症状 (二次性) を区別せず, 症候論的に診断される疾患単位として記載された. 不眠症は, 独立したQOL阻害要因として対応すべきである. 治療の初期対応は, 十分な睡眠衛生指導に最小限の薬物療法を併用することである. ガイドラインは, 認知行動療法 (CBT-I) を薬物療法と同時に早期から活用することを推奨している. CBT-Iは, 訓練を受けた治療者がマニュアルを遵守すれば, 心身疾患における不眠症の睡眠やQOLを改善させる. CBT-Iの研究知見に基づいた臨床実践が, 本邦の睡眠医療における喫緊の課題である.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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