心身医学
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企画シンポジウム特集/慢性不眠症治療のストラテジー
ベンゾジアゼピン系薬剤と新規睡眠薬の適応と限界
井上 雄一
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2018 年 58 巻 7 号 p. 612-615

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抄録

不眠症は, 神経症的な機制により過覚醒状態を形成するものであり, 罹病経過中に概日リズム変調や, 睡眠衛生悪化を呈するケースが多い. 薬物療法によって効果を発揮するためには, 睡眠習慣や睡眠環境を整え, 概日リズムの恒常性を保つことが求められる. 現在の睡眠薬の中では, Z-drugと呼ばれるベンゾジアゼピン受容体アゴニスト, メラトニン受容体アゴニストであるramelteon, オレキシン受容体アンタゴニストであるsuvolexantがfirstlineといえるだろう. 後二者の中では, ramelteonは概日リズム調整作用を有し入眠障害に有効であるのに対し, suvolexantは睡眠維持障害に効果的であるという特性を有する. ベンゾジアゼピン類は, 特に高用量使用・長期使用下で, 依存形成リスクがあるため, その使用には十分注意すべきであろう.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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