2019 年 59 巻 2 号 p. 164-172
ストレス対処力向上を目指すグループ療法が, 皮膚心身症患者の問題の認識やその対処, 皮膚症状の経過や治療姿勢にどのように影響を与えるのかを質的に検討した. グループ療法に2回以上参加経験のある女性皮膚心身症患者7名を対象として, インタビューを実施し, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した. その結果, 5つのカテゴリーが生成され, それらはグループ療法に関するもの (①他患者の観察や交流による影響, ②知識の習得・対処法の体験による効果, ③問題への態度) と, 皮膚科診療に関するもの (④治療やストレスに関する心理教育による効果, ⑤皮膚症状への態度) に分けられた. ①②④のカテゴリーは, 双方向に影響しつつ, ③⑤のカテゴリーに作用していた. グループ療法は並行する皮膚科診療と関わりつつ, 問題に対する認知的変化や対処法の実践, 皮膚症状のとらえ方や治療への姿勢に効果をもたらすことが示唆された.